フィンカ・エル・パライソ ゲイシャ・レティ

この珈琲を飲むと概念が変わります。スーパーフルーツの様なフルーティさで、コロコロと変わる表情も美しく、高貴で高嶺の花の様な印象のコーヒー豆です！是非、お試しくださいませ。

FINCA EL PARAISO, GEISHA LETTY
Name Coffee Geisha Letty
Producer Diego Samuel Bermudez
Region Piendamo, Cauca, Colombia
Elevation 1750 m.a.s.l.
Variety Geisha
Process Double fermentation, Thermal Shock

銘柄:ゲイシャ・レティ
生産者:ディエゴ・サミュエル・ベルムデス
地域:ピエンダモ、カウカ、コロンビア
標高:海抜1750メートル
品種:ゲイシャ
精製方法:ダブル・ファーメンテーション(二重発酵)、サーマルショック

Finca El Paraiso_ Geisha Letty

フィンカ・エル・パライソはその名の通り、まさにコーヒーの生産と精製における特別な天国です。 ディエゴ・ベルムデスはその生産者であり、常に革新的なアイデアにあふれた仕事をする真の天才です。そして、彼の家族も同じく起業家精神や科学的な意識、情熱を持ち合わせています。
ディエゴ・サミュエル・ベルムデス・タピアは、自身の信念を次のように語ります。
「私は、革新とインパクトを与えることに情熱を注いでいます。」
フィンカ・エル・パライソは家族経営です。ディエゴ・サミュエルと彼の家族が協力して、独自で安 定性のある高品質なコーヒーシリーズを生み出しました。スタッフは家族4人と従業員8人で構成 され、コーヒー生産のあらゆる側面で積極的にテクノロジーを導入しています。
彼らはコーヒーの木に必要な肥料を与えるだけでなく、発酵や洗浄の技術も独自に開発しまし た。さらには自家採取した微生物を駆使して、木に適した肥料を提供しています。また、ディエゴ は環境にやさしい独自の乾燥設備も開発しました。この乾燥設備は凝縮の原理を応用しており、 独自性と効率性を兼ね備えています。
ディエゴはこう語ります。「コーヒー生産者として、ビジネスを生み出し、大好きなコーヒーを精製し、家族や労働者と農園での最高の瞬間を共有しながら平穏な暮らしを送ることが私の夢で す。」
2008年、ディエゴは、コロンビアのカウカ県ピエンダモ市にあるエル・パライソ農園で、家族と共にコーヒーの栽培を始めました。これが彼の人生における冒険の始まりでした。彼は、コーヒー業界が直面する課題に対して確固たる信念を持ち、解決策を提供することを目指して学び始めたのです。また、革新的なテクノロジーや取り組みを取り入れ、コーヒーの栽培と精製に必要な基盤を整備しました。
2015年以降、フィンカ・エル・パライソは、地域や国内のさまざまなコンテストへの参加を通じて、 スペシャルティコーヒーの生産者として確固たる地位を築き始めました。
彼らは、高品質なコーヒーの栽培、精製、販売を一貫して行っています。フィンカ・エル・パライソは、総面積3ヘクタールの農園です。また、その他5つの農園でもコーヒーを生産しています。そ のうちヴィラ・ロシータ農園は7ヘクタール、ヴィラ・エスペランサ農園はコーヒー農園だけで10ヘクタール(他の作物を含めると合計25ヘクタール)、ヴィラ・アレハンドロ農園は3ヘクタールです。これらの農園はすべて「エル・パライソ」という名前で活動しています。主要な栽培品種には、カスティーヨ、パカマラ、ゲイシャ、ローリナがあります。
ディエゴは、科学的なアプローチを用いてイノベーションを促す真の農家です。
彼はコロンビアにおいて、様々な種類の微生物や酵母を加えて発酵を試みるという実験を最初に始めたパイオニアの一人です。現在、ディエゴは10以上の再現可能なプロトコル(レシピ)を開発し、必要に応じてプロファイルを生み出す能力を身につけました。
清潔かつ徹底的に管理された環境で、工業的で厳格な精製を行うことが彼のアプローチの特徴です。すべてのコーヒーチェリーは、ろ過された水で徹底的に洗浄され、皮に存在する微生物は すべて取り除かれます。その後、チェリーの中身を分析し、有機化合物の分析結果に基づいて独自のレシピで微生物を導入し、発酵を進めます。温度、pH、圧力などの環境変数を把握し、発酵の程度を厳密に制御します。
ここで重要なのは、彼の生産するコーヒーに含まれるフレーバー化合物は、人工的に添加されたものではなく、発酵の過程で既に存在する化合物の分子を利用して意図的に生成されている、ということです。ディエゴ自身は、2021年11月に次のように述べました。「コーヒーそのものよりも高価な化合物を添加することは合理的ではないでしょう。」ディエゴは自身の研究結果をもとに、カスティージョとゲイシャに重点を置き、独自の収穫後のプロセスを開発し始めました。
先に述べた化合物の具体的な例を2つ挙げます。ヘキサノールとリナロールは自然に存在し、合成が困難な化合物です(リナロールはゲイシャに特有のものです)。しかし、これらの化合物は化粧品や化学工業など、様々な商業用途に利用されています。(ヘキサノールについては、500グラムあたり318ユーロという高額で取引されています)
発酵をコントロールするには、いくつかの手法があります。フィンカ・エル・パライソでは、培養液を基にした発酵方法を採用しています。栄養の種類やチェリーの代謝によって、さまざまなプロファイル(香り)が発酵中に生成されます。ディエゴのチームは、変数のコントロールと調整に力を入 れ、カップのプロファイルを一定にするよう取り組んでいます。
さまざまな要素が複雑に絡み合い、完全にコントロールできない変数も存在します。そのため、 カップのプロファイルや酸味、ボディが異なっていても、紅梅やライチのような共通の特徴を持つこともあります。
調整が必要な要素は次の通りです:
● 生産者が育てるコーヒーの一貫性(非一貫性)
● チェリーの品質(現在の主な課題)
● コーヒーの価格(昨今は非常に高額)

● チェリー自体が持つ特性
ディエゴは現在、アンティオキア大学と協力し、長期プロジェクトに取り組んでいます。チェリーの 発酵中にどのように化合物が発展し、どのようにそれらを分離できるかを研究しています。
彼の農園は、太平洋からの風によってもたらされる温暖で湿潤な気候を有し、規則的な気温の 変動があります。標高が高い(平均1,930メートル)ため、豆はゆっくりと熟成し、発酵に必要な糖分を生成するために十分な時間を確保できます。
ディエゴは多くの情報を公開していますが、自身の技術については完全に明かしていません。ま た、多くの細かい点は、彼の農園の環境条件に合わせて開発されたものです。
主なプロセスは下記の通りです:低温での二重発酵、冷水と温水を用いたサーマルショック
1. 完熟のチェリーを95%、ピントチェリー(半熟)を5%収穫します。
2. チェリーの最初の洗浄には、濾過された水(従来の濾過システム、逆浸透膜フィルター、 UV-Cフィルター)を使用します。微生物の負荷を減らすために、チェリーは濾過水(従来 のフィルターシステム、逆浸透膜フィルター、UV-Cフィルター)で洗浄されます。 

3. 発酵の第一段階(微生物の投入)は、チェリーの状態での嫌気性乳酸発酵です。これ は、18°Cの温度で48時間、圧力解放弁を備えた嫌気性バイオリアクターで行われます。 また、プロファイルに合わせて選択された微生物も使用されます(キャンディ・ゲイシャに は、カールスバーグ酵母が使用されます)。 

4. 発酵の第二段階は、好気性発酵(果肉除去後のチェリーを使用)です。この段階では、酵母培地を粘液に加え、回転式発酵槽で好気的な状態に移行し、均質化します。発酵培地には、主に微生物によって生成されるさまざまなフレーバー前駆体やアロマが含まれて います。この段階は48時間続き、摂氏21度で行われます。 

5. サーマルショック洗浄では、まず熱水(40°C)で洗浄し、次に冷水(12°C)で洗浄します。これにより、コーヒー豆の表面と内部の微細な穴が急速に広がり、発酵化合物(培養液の 発酵の違った段階で生じる二次的な香り)がコーヒー豆にしっかりと固定されます。(サー マルショックという言葉は、ディエゴ自身が造語しました。) 

6. 最終的なコーヒーの品質を確保するために、コントロールされた乾燥工程が行われます。 この段階では、34時間をかけて、温度35度、相対湿度25%で空気を循環させながら、豆の湿度を10%から11%にするまで乾燥を続けます(発酵段階で生成された化合物やコー ヒーに元々存在するものの中には、高揮発性で熱に敏感なものがあります)。そのため、 コーヒー豆の乾燥は慎重に行われる必要があります。フィンカ・エル・パライソでは独自の 技術を開発し、不活性雰囲気下で低温乾燥を行っています。 

カウカ地方に適応したゲイシャ種は、繊細で豊かな香りが特徴です。標高や地域の気候条件な ど、完璧なテロワールがこの品種の品質を引き立て、素晴らしいプロフィールを生み出す重要な 要素となっています。
● プロセス:ウォッシュドプロセス、特別な発酵

● 発酵:低温二重嫌気性発酵

● 微生物:カールスバーグ酵母

● テクニック:サーマルショック洗浄(温水と冷水を使い分ける)
主要な工程は前述のステップと重なります。まず、チェリーを洗浄し、オゾン処理による殺菌を行い、不要な微生物の負荷を軽減します。その後、ステンレス製の発酵槽にチェリーを移し、CO2を注入して酸化を防ぎます。一次発酵は18°C、20psiで36時間行われ、この間に添加されたカール スバーグ酵母がさまざまなエステル(パイナップルに似た香り)を生成します。フィンカ・エル・パラ イソでは、発酵のプロファイルに基づいて、厳選された微生物が用いられています。
コーヒー豆に微生物を投入する前に、前駆体の生物触媒反応と呼ばれるステップがあります。この段階では、細胞にストレスを与え、より芳醇なエステル、アルデヒド、アルコールなどの発酵化合物の生合成を促すための生化学的条件を作り出します。この反応は36時間にわたり、攪拌タンク型のバイオリアクターでフェッドバッチ運転を行いながら、ミューシレージを供給します。
果肉除去後のチェリーで第二次発酵が行われます。このステップでは、ミューシレージに酵母培 養液を添加します(コーヒー1kgあたり250 mLの培養液を使用)。そして、均一化を図るために回転発酵槽で好気的な環境に切り替えます。これにより、エステル、アルデヒド、アルコールなどのより芳香性の高い発酵化合物の生合成が促進されます。これらの化合物は主に浸出液に存在し、コーヒー豆を覆うパーチメントや銀皮の内部に浸透することは難しいのです。そこで、発酵後にはサーマルショック技法を用いた洗浄が行われます。これによって、コーヒー豆の膜や孔が急速に拡大し、発酵化合物がコーヒー豆の周囲に固定されるのです。これにより、洗浄過程でこれらの化合物が失われることを防ぐことができます。最後の工程では、コントロールされた低温乾燥 が行われます。除湿システムを使用して、コーヒー豆の湿度が適切なレベルになるまで乾燥させ ます。